動物病院のHPで紹介いただきました

やっと梅雨らしい天気になってきました。気温や湿度の上昇により、熱中症や感染症などが増える季節です。決して弊社の死後検査の対象にならないよう、動物のご家族各位には、気を引き締めた対応をお願いいたします。何を隠そう、獣医学生であった時分、私は飼っていたウサギを暑い日に西日が長く当たる場所にたまたま一時的に置いてしまい、熱中症で亡くしました。悔やんでも悔やみきれない、情けなく申し訳ない体験です。熱中症でペットを亡くすご家族の報道やお話に触れるたび、自分と同じ思いをされているんだろうなあ、同じ失敗は二度と繰り返さないと固く誓ってらっしゃるだろうなあと想像しています。

さて、東京都武蔵野市に拠点を構える動物病院 日本ベェツグループ様のホームページで、動物が亡くなった場合の死後検査(剖検、病理解剖とも呼ばれます)を紹介するページができました。

http://www.pet-hospital.org/guidance19.html

これは非常に画期的なことです。なぜかというと、動物病院は従来、動物の尊い命をどのように守り、健康な毎日が送れるように手助けするか、ということに力を注いできました。これは当然至極、誰も反対する余地のない、獣医師の使命です。そこでは、動物の死は残念で悲しい出来事であるのみならず、獣医師にとってはなにかしら敗北、後ろめたさ、行き詰まり、のようなニュアンスでとらえられてきたのではないでしょうか。もちろん、そうではないというご意見も多々あるでしょう。

獣医療の最前線で、動物の死から学ぼうと声を上げるのは、実はとても勇気のいることです。私は臨床の現場で働く獣医師に、かなりの頻度で「先生は病理解剖はされていますか?」と質問しています。ほぼ100%の先生が、「いえ、やっていません。だって、悲嘆にくれるご家族に、そんなこと言い出せませんよ」とか、「やるとしてもほんのちょこっと、病気があっただろうなあと思われる組織を頂くだけで、ちゃんとした病理解剖はしたことがありませんし、やれと言われてもできません」というようなお答えをされます。「病理解剖を、獣医師もご家族もやってみたいとなんとなく思うことが稀にありますが、どちらもはっきりと言い出せませんし、どこにかに頼めばやってくれるかどうかも知りませんでした」というご意見も聞いたことがあります。

弊社すなわち私のような、病理検査を生業にしている者ならともかく、ご家族や動物と面と向かって全てを受け止めている臨床獣医師にとっては、病理検査は鬼門ともいえるのではないでしょうか。だからこそ、今回動物病院のHPでご紹介いただいたことには大きな意味があると考えています。記事の中では弊社も紹介されていますが、獣医大学でも病理解剖を受け付けてくれることがあります。残念な「死」から、ものすごく多くのことを学び、何十倍、何百倍の命を救うことができるのが死後検査のもつ力です。しかもその費用は、診断作業の手間、人間の病理解剖の基本料金、生時の組織病理検査(しこり一個の検査でおいくら?)の基準から考えると驚くほどリーズナブルです。我田引水になってしまったようですが、弊社のHPはリンクを張ることもご紹介いただくことも自由かつ無料ですので、一言だけメールで「リンクしましたよ」とご連絡いただくことを条件に是非獣医療のオプションとして広がっていってほしいと願っております。

最後に、最近とある獣医師の先生から質問を頂きました。「解剖という言葉からイメージされるような、ご遺体が切り刻まれるのではない、ってことは御社のHPを読んでわかりましたが、ご家族にお返しするご遺体は実際どのような状態になるのでしょうか?」 このご質問に対して、このHPで写真をお見せすることはできませんが、皮膚の切開をなるべく小さくしながらも死因を探るような詳細かつ必要十分な検査をした後で、立会いの獣医師の先生に縫合・清拭をしていただいたご遺体は、ご家族がびっくりするくらいきれいな状態でお返しできています。ご家族と動物の最後のお別れの時を想像しつつ、なおかつ死因を探るという目的には妥協せず、工夫を重ねております。

今回は以上です。次回は腫瘍のゲノム解析のお話です。乞うご期待。