腫瘍学小テスト⑦解答(最終)

いつも大変お世話になっております。今回一緒に歯を食いしばって(まさにこの表現の通り)教科書を読んだ獣医さんからは、「腫瘍を見る目や考え方がガラッと変わりました!」という感想がありました。私も同感です。最新の知識は論文から得ることにして、基礎を俯瞰するにはたまにこういった教科書を一気に読むのもいいのかなと思った次第です。複数の人で問題を作って持ち合ってワイワイやると長続きするかもしれません。

では、最終の解答になります。

腫瘍学小テスト⑦解答

Q1.化学物質の中には腫瘍を誘発するものがある。その過程は(   )と(   )に分けられる。前者の段階では、発癌性化学物質が持つ求電子体がDNAに修復不可能な傷害(突然変異)をもたらす。後者の段階では、それ自身は突然変異を起こすことがない「プロモーター」が細胞の増殖を促し、傷がついたDNAに追加の突然変異が起こる機会を増やし、最終的にその細胞が腫瘍化する確率を高める。2つの括弧に入る言葉をそれぞれ述べよ。
A1.イニシエーションinitiationとプロモーションpromotion。

Q2.発癌性化学物質にはいろいろなものがあるが、代謝を受けずとも腫瘍を起こし得るもの(直接作用性発癌物質)と、体内で代謝されて初めて発癌作用を発揮するもの(間接作用性発癌物質)に分けられる。後者において、多くの発癌物質の代謝に関わっている重要な酵素とは何か?
A2.シトクロムP450モノオキシゲナーゼ。この酵素をコードする遺伝子には個人差があるので、腫瘍に罹患しやすいかどうかを、遺伝子を調べることである程度予測できる可能性がある。

Q3.日光の紫外線を受けて、特に色白の人が起こしやすい皮膚悪性腫瘍を3つ述べよ。また、紫外線を受けるとDNAに生成され、らせん構造を乱すものは何か?
A3.扁平上皮癌、基底細胞癌、悪性黒色腫。ピリミジンダイマー(チミジンダイマー)。

Q4.ピロリ菌(Helicobacter pylori、イタリック体)の感染がその発生に役割を果たしているとされる2種類の胃の腫瘍を述べよ。
A4.胃癌gastric adenocarcinomaとMALTリンパ腫lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue。

Q5.悪性腫瘍に罹患すると重度の倦怠感、食欲不振、貧血が見られることがあり、癌性悪液質cancer cachexiaと呼ばれる。この発生機序には不明点が多いが、以下が共通してみられる。①(   )と(   )の均等な消失、②基礎代謝の増加、③全身性炎症の証拠(例:急性相蛋白の増加)。2つの括弧に入る言葉をそれぞれ述べよ。
A5.脂肪と筋肉。

Q6.次の腫瘍随伴症候群の臨床徴候と腫瘍の組み合わせで正しいものはどれか?
  低血糖と線維肉腫
  クッシング症候群と小細胞肺癌
  播種性血管内凝固と前立腺癌
  筋無力症と胸腺腫瘍
A6.すべて正しい。

Q7.腫瘍のグレーディングとステージングの違いを述べよ。
A7.グレーディングは腫瘍細胞の分化の程度、分裂頻度、構造の特徴等をもとに決定する、今後の腫瘍の挙動を予測するための形態学的な悪性度分類。ステージングはTNM分類と称される、腫瘍のサイズ、リンパ節転移、遠隔転移に関する情報をもとにした臨床的な悪性度分類。

以上です。

ノーバウンダリーズ動物病理
三井