ごあいさつ

臓器の形態異常を肉眼で診断することを「肉眼病理検査(マクロ検査)」と呼ぶのに対し、光学顕微鏡の力を借りて最大1,000倍にまで対象を拡大してさらに詳細に検査することを「組織病理検査(ミクロ検査)」と言います。疾患の診断、治療法の選択、予後の判定に欠かせない重要な検査ですが、日常生活の中で見聞きすることはほとんどないため、簡潔に説明いたします。

組織病理検査とは

組織病理検査は、生物の身体にできた「しこり」や異常があると疑われた組織を、臨床医が外科的に摘出するところから始まります(このため外科病理検査 surgical pathology とも呼ばれます)。摘出組織は腐敗防止と殺菌のためにホルマリン固定されます。固定された組織が病理検査機関に送られ、複雑な行程を経て、切片(プレパラート)が作られます。切片は、組織を非常に薄く(約5㎛。1㎛は1mmの1000分の1)スライスし、ガラスの小さな板に載せて染色したもので、CT断層撮影の細胞レベルのものと想像していただければよいと思います。

切片を病理診断医が検査し、細胞がどういった異常を示しているのか、腫瘍であればその悪性度、病原体であればその分類といった複雑な情報(病理学的変化)を読み取り、診断名やコメントをつけます。コメントには病気の原因や性質についての説明、病変摘出の完全性についての判断、病気の今後の行く末(予後)に関する情報等が含まれます。出来上がった診断書は臨床医に送られ、患者様の治療の根拠や指針となります。

現代では病気の診断方法が多様化していますが、組織病理検査には「実際に細胞や組織を見る(百聞は一見に如かず)」という大きな特徴があります。医学・獣医学において組織病理検査が果たしてきた/いる役割は大きく、病気の確定診断のみならず、有効な治療法の開発や未知の疾患の発見の陰には必ずと言っていいほど組織病理検査が関わっています。

弊社の組織病理検査の特徴

動物の組織病理検査会社は我が国において20社を超えます。基本的な業務は共通していますが、患者様、ご家族、獣医師様に貢献すべく、各社が様々な特色を打ち出しています。その中で弊社としては、以下の4項目に特にこだわっております。

1.丁寧に診る

病理診断医の仕事の第一は「見る」ことです。そして、単に見るのではなくそこに意味を見出す、すなわち「診る力」が検査結果を大きく左右します。世界の獣医療をリードする米国では、臨床獣医師の適切な治療をサポートするため、臨床的思考を持つ病理診断医の育成体制が整備されています。弊社代表は米国に3年以上留学し、過酷な専門研修を修了し、米国獣医病理学専門医資格(ACVP認定医資格)を取得しています。この資格を持って日本で業務を行っている診断医は、弊社代表を含めて数人しかいません。獣医臨床の現場を熟知し、目の前の検体から最大限の情報を得る能力が証明されているACVP認定医の診断を、大切な患者様のために是非お役立てください。

2.的確に伝える

現代では、病理診断医は診断を通じて治療に貢献する、いわば「診療チームの一員」です。チームには様々なプロフェッショナルが含まれていますが、病理診断を担うのは病理診断医だけです。従いまして、難解な用語を多用して臨床医を混乱に陥れることがないよう、理解されやすい診断書を作成する技術と姿勢が求められています。難しい事柄を平易に伝えるという作業は実は容易ではなく、物事の本質をわかっていないとできません。弊社の診断書は、皆様に必要な情報を余すことなく届けられるよう、十二分に配慮しております。また、検査結果の中には心情として伝えづらい内容や、物議を醸しかねない内容もあります。このような内容をどのようにお伝えすべきかについては、病理診断医の独断を排し、依頼主様と適宜相談させていただいております。

3.最終診断への執念

病気は生き物です。その姿かたちは、いつも同じとは限りません。しかし、病理診断医に求められるのは常に、「答え(最終診断)は何?」という、最も単純にして難解な問いです。典型から外れた病変、大きな病変の一部分、他の要因が明に暗に複雑に影響している病変、(診断医にとって)未知の病変、このような場合の診断は、一筋縄では行きません。時には、「診断不能」の一言で片付けたくなることもあります。ですがそれは最終診断への道を閉ざすだけでなく、獣医療の発展と、その先の飼主様と伴侶動物の未来を狭めることをも意味します。そのため本検査では、あらゆる手段を尽くして最終診断に取り組んでいます。幸いにも、志を同じくする獣医病理診断医や、先達が残してくれた膨大な資料・文献、また、病気の正体を暴くためのチームメート(依頼主の獣医師様や、患者様のご家族)が、最終診断に近づく手助けをしてくれます。

具体的には、
・より詳しい臨床情報や以前の検査の結果を伺うために依頼主様に連絡し、診断のための判断材料を増やす
・できる限り多くの、なるべく新しい文献を調べて、診断や予後に関する知見を得る
・他の病理診断医のセカンドオピニオンを仰ぐ
・答えに近づくために有用な追加検査項目を調査・選択し、依頼主様と実施について相談し、承諾いただけたら検査を仲介する(日本国内や海外の検査機関にて)
といった対応があります。
中には最終診断に肉薄はすれどもそこに至らない事例もありますが、そうして作り上げた道が、次の挑戦の足掛かりとなります。こうして日々、忍耐と執念を持って診断を行っております。

4.リーズナブルな料金

・非腫瘤性病変(いわゆる皮膚病)の皮膚パンチ生検標本は、同一個体から同時に採取した標本であれば何個でも基本料金で検査いたします。
・消化管内視鏡生検標本も、同一個体から同時に採取した標本であれば基本料金で個数不問です。検査結果は国際基準のWSAVA形式で報告いたします。
・依頼主様が実施した剖検検体の組織病理検査は、5臓器までは規定の加算方法、6臓器以上は臓器数に関わらず一律料金となります(主要病変の組織写真を解説付きで添付します)。

組織病理検査のご依頼方法

・組織病理検査は弊社を含め3社で受け付けております(下表)。
・診断書はPDF形式ですので(モノリス社を除く)、保存、管理、印刷、PC/タブレット/スマホ等での閲覧に便利です。
・他社診断済み標本に限り、セカンドオピニオンを無料で承りますので、スライドを送付ください。

受託企業 所要日数 診断書の特徴など
弊社 ホルマリン固定検体 4〜7日 ・字数や添付写真枚数に制限なし
・メール添付
・読みやすい体裁
・消化管内視鏡検体の評価は世界基準のWSAVAフォーマットに準拠、写真も添付
・特殊染色無料、免疫染色3社中最安値
染色済みスライド 1〜3日
富士フイルムモノリス株式会社様 7〜10日 ・獣医師様用をファックスで先に送付
・飼い主様用(写真入り)を後日郵送
・診断医に「三井」をご指名ください(指名料無)
・無料集荷サービス有
株式会社新組織科学研究所様 4〜7日 ・メール送付
・信頼の標本作製技術
・診断医に「三井」をご指名ください(指名料無)

2014年4月から弊社で受け付けを開始した組織病理検査は、
・ホルマリン固定組織
・記入済みの組織病理検査依頼書
を弊社までご送付いただくことで受注となります。