2020 ACVP学会参加記

皆様、ご無沙汰をしております。久しぶりの投稿となりました。毎年恒例の海外学会参加記を簡潔にお送りします。

失われた2020年として後世に記憶されるであろう本年、学会も国内・国外を問わず、ほぼ全てがバーチャル開催となりました。ACVP(米国獣医病理学会)は今年はシカゴで創設70周年を盛大に祝う!と楽しみにしていましたが、例に漏れずバーチャルで行われました。

今年も頑張ってポスター発表(こちら)をしました。ポスター発表者は、解説する様子を動画に撮って添付せよとのことで、私は読み原稿を作ってポスターの静止画に重ねて対処しました。他の発表者は顔出し画面とパワーポイント画面の並列のものが多く、バーチャル学会の作法を知る良い機会になりました。

飛行機を乗り継ぐ長時間移動がない反面、当然のことながら学会はアメリカの現地時間にあわせて進められますので、リアルタイムで視聴することはあきらめました(ちょうど夜11時くらいからスタートするため、参加すると一睡もできないのです)。録画されて後でオンデマンドで見ることができるプログラムが多かったので助かりましたが、やはり質問できるのはリアルタイムで視聴している場合に限られるので、若干の消化不良感がありました。また、学会終了後1か月弱にわたってくりかえし視聴できるとなるとサボり癖が出てしまい、結局興味あるプログラム全てを消化することはできませんでした。リアル参加の場合は時差ボケのために消化不良になるので、どっちもどっちという気がしました。

今年は獣医口腔病理学の長いワークショップを視聴し、この分野の診断のトレンドを頭にインストールすることが出来ました。ACVPにおいては、様々な動物種や臓器にそれぞれ大御所というか先駆者がいて、包括的に説明してくれたり本を書いてくれたりするので、とても助かります。今回の口腔病理学では、日本の研究者の論文も引用されていて、嬉しく思いました。

ポスターにおいてはSARS-CoV-2が在来猫に感染して肺にどんな病変を作るかや、盤状ゲームを模倣して学生に各種の炎症細胞を教える教材の例や、single-cellのRNA解析など、興味をひくものが多くありました。

眼病理のミステリースライドにおいては、お年を召したこの分野のレジェンドの先生と、他の若めのパネリストたちとの調和がとれていなくて、ハラハラドキドキしました(笑)。

10年以上ほぼ毎秋、ある程度の犠牲を払って参加してきた学会のテイストを曲がりなりにも今回味わうことができ、一定の満足感はありました。しかし、来年はシアトルにて、現地の空気を感じつつ、眠い目をこすりつつ、必然や偶然の出会いをまた楽しめたらと思っております。

以上です。

三井一鬼