病理相談外来
はじめに
病理検査は、検査「機器」ではなく病理診断医という「人」がプレパラートや画像を「診(み)て」行います。
したがいまして、もし病理診断医が10人いたら、同じ病変を診て10の異なる診断名がつく可能性さえあります。
「病理検査は誰が診ても同じ結果になる」ということは決してありませんし、「唯一絶対の正解がない」のが病理検査の特徴です。
しかし、そんなことを言っていては動物の病気の診断や治療は前に進みません。
では、検査を依頼する臨床獣医師の先生方や飼主様は、いったい何をよりどころに、検査結果を評価・解釈・信頼したらよいのでしょうか?
難しい問題ではありますが、結局はその病理診断をした「人」に着目するべきです。病理検査に絶対的な正解がないとしても、それに限りなく近い診断をするのは、
- 日頃から最新の学術情報に接し、知識をアップデートしている人
- 厳しい教育・訓練を経て難関の専門医資格を得ている人
- peer(ピア)と呼ばれる同業者・専門家の率直な意見交換の場に定期的・積極的に参加し、研鑽を積んでいる人
- 病理検査が、動物の健康を守るチーム医療の一部門であることを熟知している人
と言えます。
臨床獣医師様や飼主様が受け取る病理の診断書・報告書の末尾に書かれている「病理診断医」が、上記4項目を満たす人物なのか、よく吟味していただければと思います。
弊社が特に強調したいのは、動物を日々世話し、愛で、経済的負担を負っておられる「飼主様」に、病理検査・病理診断に関する理解を深めていただくことが、我々病理診断医や検査会社に緊張感と健全な競争をもたらし、最終的には我が国の獣医病理診断学の底上げにつながるということです。
以上の背景から、このたび、病理相談外来を開設することにいたしました。
なぜ病理相談外来が必要なのか?
人の医学では2008年に「病理診断科」が広告可能な標榜科名として正式に認められ、内科、泌尿器科のように、医療の受益者である患者さん自身が病理検査や病理診断について知る機会が徐々に増えてきました。
ドラマや漫画でも、病理を扱うものが人気を博しており、隔世の感があります。
いっぽう、獣医学、特に伴侶動物(いわゆるペット)の分野において、病理診断や病理検査の実態が飼主様の目に触れる機会はほとんどありません。
これは、3つの意味で不幸なことです。
- 病理診断医が是非伝えたい病変や診断の微妙なニュアンスを、必ずしもその道の専門家ではない臨床獣医師が、自身で正確に把握したり、飼主様に伝えきれたりできないことが往々にしてあります。
- 臨床獣医師が病理検査会社を選ぶ際、病理診断の本質とは無関係の「魅力的なサービス」や「縁故」を重視する傾向があり、飼主様と動物にとってベストの診断が提供されているとはいい難い状況があります。
- 病理診断医の重要な責務である死因究明(死後検査)は、多くの病理検査会社では検査項目に記載されていません。理由は単純で、営利を追求する企業にとって死後検査は採算が合わない検査だからです。死後検査は世界各国で獣医病理診断医が果たすべき重要かつ特殊な任務と認識されていますが、わが国では商業主義がその発展や進化を妨げています。
弊社は、このような状況を2012年の起業以来、忸怩(じくじ)たる思いで観てまいりましたが、このたび意を決し、病理相談外来を開設することにいたしました。その理由は、以下の3点です。
- 病理診断書の難しい専門用語や診断の微妙なニュアンスについて、丁寧にわかりやすく余すところなく飼主様に伝え、大切な動物に何が起こっているのかを正確に把握していただいた上で、その後の判断に役立てていただきたいからです。
- 動物診療施設がどの病理検査会社や診断医を選ぶかについて、これまで飼主様に選択権はありませんでした。その不利益を和らげるため、セカンド(あるいはサード)オピニオンを、動物診療施設のみならず飼主様からも気軽に求めていただく検査会社が必要と感じたからです。
- 臨床獣医師が病理学に苦手意識を持ちがちなのは、獣医大学での試験偏重教育や、不十分な卒後教育に原因があると考えておりますゆえ、病理相談外来を卒後教育の新しいフォーマットとして活用していただき、臨床獣医師の病理学に対する苦手意識を克服し、よりよい臨床業務の遂行に活かしていただきたいと考えたからです。
用途
どんな場合に病理相談外来をご利用いただければよいか、具体例をお示しいたします。
飼主様だけでなく、獣医師様にも、この外来サービスはメリットがあると考えております。
但し、治療に関するコメントは、病理診断医の職務の範疇外につき、いたしかねます。何卒ご理解のほど、お願い申し上げます。
<飼主様向け>
- 病理診断書を受け取ったが、専門用語が多く、意味がよく分からない。わかりやすく説明してほしい。
- 手術等の重大な措置に踏み切る前に、今一度現況をよく把握したい。
- 他社・他の診断医が診断に使ったのと同じプレパラートをもう一度見直してもらい、独立した立場からのセカンドオピニオンあるいはサードオピニオンが欲しい。
<獣医師様向け>
- 病理診断書を受け取ったが、専門用語が多く、意味が分からない。わかりやすく説明してほしい。
- 手術等の重大な措置に踏み切る前に、今一度現況をよく把握したい。
- (専門医資格取得や研鑽等のために)病理診断の勉強をしているので、所見の取り方や診断の勘所などを教えてほしい。
- 普段使っている病理検査会社があるが、気になる症例についてはダブルチェックを心がけたい。
病理相談外来の実際のながれ
1. フォームへの入力
下記の「お申し込みフォーム」に必要事項をご記入いただき、ご希望の日時を第3希望までお知らせください。
相談外来は弊社営業時間内(朝8時〜夜7時、日・月曜日と祝日休み)に、30分・60分・90分・120分の枠で行います。
弊社の都合(学会・勉強会参加、往診等)によりご希望に添いかねる場合は、あらためて実施日時についてご相談させていただきます。
病理相談外来お申し込みフォーム
2. ご相談
弊社に来所いただくか、オンラインにて、ご相談及びご対応いたします。
ご相談内容や個人情報は、弊社代表社員(三井一鬼)を管理責任者として、漏洩が発生しないよう安全対策を実施いたします。具体的には、パスワードで守られたシステム内に情報を保存し、プリントアウトはシュレッダーにより都度処分します。
* 弊社住所:東京都府中市栄町3-12-8 メゾンKAWAI 1階
* 電話番号:080-8904-3988
* バス:JR中央線の国立(くにたち)駅と京王線の府中駅を結ぶ京王バス(国02および国03系統)、あるいは、京王線の府中駅発、総合医療センター行京王バス(府21)にて、いずれも「栄町三丁目」下車、徒歩1分です。
* タクシー:JR中央線と武蔵野線の連結点である西国分寺駅、JR中央線国分寺駅、京王線府中駅からご利用いただくのが便利です。
* 電車と徒歩でお越しの際は、JR武蔵野線の北府中駅から府中街道を北上して11分ほどです。
* なお、弊社は交通量の多い府中街道に面しておりますので、ご来所の際は事故に十分にお気を付けください。
* オンラインでの相談をご希望の方には会議URLをメールでお送りいたします。
3. お支払い
料金とお支払い方法
* ご相談の内容によらず、税込4,400円/30分
ただし、「(専門医資格取得や研鑽等のために)病理診断の勉強をしているので、所見の取り方や診断の勘所などを教えてほしい。」のような趣旨の場合は、割引等のご相談に応じさせていただきます。
* 現金でお支払い:領収書を後日郵送いたします。
* ご請求書の送付によるお支払い:月末締め、翌月上旬にメール添付あるいは郵送でご請求書をお送りいたしますので、銀行振り込みあるいはカード払いにてお支払いください。なお、お振込手数料は、振り込み主様にてご負担いただけますようお願い申し上げます。
ご注意・補足
- 施設見学、インターンシップ、学術研究のご相談等は無料です。ご不明な点はお尋ねください
- 弊社施設は狭小ですので、ご来所いただく人数は3名を基本的な上限とさせていただきます(応相談)。
- お車でご来所の場合、弊社前駐車場を1台分お使いいただけますが、2台以上でお越しになる際は近隣のコインパーキングをご利用ください。申し訳ございませんがコインパーキング利用料はお客様にてご負担ください(都心部ほど高額ではありません)。
- 外来業務実施中の録音や撮影に関しましては、ケースバイケースで対応させていただきます。
- 病理相談外来は基本的に口頭でのご説明やアドバイスを行うもので、手書きのメモ等はお渡しいたしますが、正式な文書(セカンドオピニオン診断書等)がご必要な場合は所定の料金を別途ご請求させていただきます。
- マスコミ関連の取材やオピニオン聴取は本サービスの対象外ですので、別途ご相談ください。